父親が亡くなった時の相続で初めて知った事

私の父親は今から17年前に他界しました。
旅先での突然の急死だったので、葬儀等の事でばたばたして慌ただしく日々が過ぎていきました。
1ヶ月くらい経ち漸く少し落ち着いてきた頃、相続税を支払う必要があるのか調べている時に、父親名義となっている土地と建物の名義を母親名義に変えなければならないのでは、という話になりました。
私は、その点については管轄法務局に相続を原因とする所有権移転登記の申請をすれば済む話であると思っていました。
ところが、母親が私と姉にあらたまって話があると言ってきました。
その話の内容は、生まれて初めて聞く驚きのものでした。
父は南方の戦地から復員後、ほどなくして結婚をしました。
6人兄弟の3男だったので結婚相手の女性の戸籍に入り婿として入籍し、氏も相手の姓に変えました。
そして、その女性との間に女の子が生まれました。
しかし2年位の結婚生活を送った後、父は離婚をしました。
その間のいきさつは今となっては知る由もありませんが、女の子は相手の女性が引き取ったそうです。
その後、父は私の母と再婚し姉と私の二人の子をもうけたのでした。
父親の死亡による相続では、先の結婚の時に生まれた女の子即ち私から見れば異母兄弟も相続人となることは私達でも分かりました。
不動産の名義を変更する際には何らかの形で関与するのではないかと思い、知人の弁護士に相談しました。
弁護士によれば、私にとってのもう一人の姉にも相続分があるので、もし彼女が遺産である不動産の分割請求をしてきた場合それに応じなければならず、その際には不動産を売却して金銭で支払うしかないとのことでした。
母親は生活する場がなくなるのは困るので、かき集められるだけのお金を集めてそれを彼女に支払い、何とか不動産の売却だけはしないで済むようにしたいという意見でした。
私も同じ考えだったので、弁護士にその旨を伝えました。
弁護士は、では相手の女性にお手紙を差し上げなさいと言いました。
その内容としては、正直にこちらの事情、気持ちを書いて送りなさいとのことでした。
即ち、現在、母親や私の家族は遺産となっている土地にある建物で暮らしている。
ここを売却して生活の場を失う事は大変なダメージになる。
一度お話をさせて頂きたい、というものでした。
そして、お手紙を送ってから暫く後に彼女から電話がありました。
緊張して電話に出ると、彼女はこちらの事情は良く分かった、土地を売却する事を求めたりはしないことを話してくれました。
話していて優しい気持ちを持った方であるのが良く分かりました。
また、彼女の母親は今も元気で一緒に暮らしている事、彼女も結婚をして家庭を持ち子供もいる事等も話してくれました。
離婚をして出て行った父親のことも、特に悪くは思っていないとも言っていました。
その後、彼女は名義変更に必要な書類等も揃えてくれて無事に終わりました。
終わった時は本当にほっとしました。

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